2025.5.23(金)
【成長に不可欠な矛盾】
Hola!の国から一昨日帰国しました????????
高校生2人は来週まで滞在ですが、今回のスペインで感じたことや氣付いたことを分かち合いさせていただきます。
今回は13才〜18才の5名で、ウチに来て6〜8年間共に過ごしている選手達です。
中でも中学生の秀太と大和、高校生の優成はクラブ設立時の初期メンバーで全体で7名の時から在籍している選手です。
優成は他クラブでトレセンにも選ばれていたにも関わらず、全体で7名のウチに移籍してきました。
今でも変人ですが、あの当時からかなり変人だったなと思います。
僕は今まで子供を使って様々な実験をさせていただきました。
指導者を始めた13年前は、自分が受けてきた指導をアレンジしたものや、こんな指導はしたくない!という反面教師的な思想で選手達と接していたのですが、「なんか違うな…」という違和感を感じ、振り切った指導にシフトしていきました。
前チームでは夏休みに100試合以上をやってみたり、登校前に朝練をやってみたり、試合が無い日の練習は2部練をやってみたりととにかく「量」に拘って指導していました。
その結果、めちゃくちゃ上手い選手が育ったり、色んなところへ行っても「めちゃくちゃ上手いですね!」なんてよく言われたり、その後に全国大会へ出場するような選手が出たりしたのですが、僕の感覚では「これだけやってこの成果か…」という感じでした。
日本全国へ遠征にも行きまくったり、とにかく時間を掛けまくりました。
それでもなにかリターンが少ない感じがあったんですね。
そこで、エンカント設立当初は逆側に振り切り「徹底的に見守る」という指導にシフトチェンジしました。
選手達から「コーチ練習しよー」と言われるまではずっと見守る。笑
練習していた公園でどんぐり拾いや木登りを1時間弱して飽きた頃に「コーチ練習しよー」と言ってきて、サッカーの練習をしたのは15分くらい。笑
そんな感じが2〜3年続いたかと思います。
送迎してくれているお母さん達には「どんぐり拾いや木登りを1時間以上する集中力はヤバいです。この集中力がサッカーに向いたとき、爆発敵に伸びますから」と言い続けていました。
一般論からすると「は?」って感覚だと思います。笑
あの当時、不安がありながらも見守ってくれていた保護者の方々には本当に感謝です。
そんな彼らが去年はドイツ2部のカイザースラウテルン、今年はスペイン1部のラージョ・バジェカーノのカンテラへ短期留学という形で参加させていただきました。
恐らく、どんぐり拾いからスタートしてヨーロッパプロクラブのカンテラに練習参加した選手はウチが初かもしれません。笑
さて、ここからが本題です。
今回スペインへ行って感じたことの一番は彼らの適応能力、対応力の高さです。
特に2回目の秀太や高校生の2名は、トレーニング初日から自らコミュニケーションを取り、コーチや選手達全員と握手することからスタートしていました。
そんなこと一言も伝えていなかったので、「お、流石やな」と感心しました。
また、現地での生活はエージェント不在の中、僕と選手達の共同生活でご飯も全自炊。
高校生が早めに起きてきて、何やってるのかな?と思っていたら、みんなの分の朝食を作っている姿がありました。
また、移動も自分達のみで行なったり、空き時間は自分達でトレーニングしたりと、受け身ではなく、主体的に動く姿勢がそこにはありました。
ラリーガの試合も3試合観たのですが、その中でも衝撃だったFCバルセロナの試合。
今までR.マドリーやベティス、インテル、PSG、マンC、ブラガ、スポルティングリスボン、フランス代表、ブラジル代表など…
様々な試合を観て来ましたが、ブラジル代表並みの衝撃でした。
その試合後の練習で氣付いたことを実際のプレーでチャレンジする姿がありました。
亮祐は黒人をトラップ際にバチーッンと飛ばしていたので笑えましたが。笑
やはり経験に勝るものはないなと理解が深まりました。
ただ、僕達のクラブは大阪で一番下のカテゴリーで戦っています。
特別やっていることと言えば「経験を積むこと」です。
それはサッカーだけではなく、去年は死にそうになりながら富士山に登ったり、2日間北へひたすら歩き続けるというプログラムや、愛知遠征の際に事前に何も伝えず「よし、ここから自力で次の会場まで行って!大体2時間くらいで着くから!行き方は自由やからね!」お金を持ってるとか持ってないとか関係なくとバスを降ろしてそのまま立ち去るみたいなこともやってきました。
日本にいると基本的には守られています。
しかし、エンカントは僕が守られない環境を作り出すので、
「うわ、また急に言い出すやつ出た!」と受け入れてやるしかありません。
なので、選手達はよく喧嘩もします。
僕と言い合いになることもよくあります。
その都度、良い選手達に育ってきたなと思ったりします。
で、何が言いたいのかというと…
『成長している状態=動いている状態』
だということ。
反対に…
『安定している、安全=止まっている状態』
だということなんですね。
僕達は自然の中で生きています。
ということはこの自然の法則や摂理に則って生きていることを自然体で生きているということなんですね。
自然体=上手くいっていると感じる状態
ですね。
自然界は常により良く変化しています。
いつの時期も「季節外れ」と言われることが起こり、寒くなったり暑くなったり、雨が降ったり、晴れが続いたり…
1日の中でもそういった陰と陽、マイナスとプラスを繰り返しています。
ということは『常に揺れ動いている』と言えます。
成長しているということはこの写真のように綱渡りをしている状態だと言われます。
言わば『不安定な状態』ですね。
綱渡りをしていると自然と揺れ動きます。
反対に地上に立っていると動こうと思わない限り、グラグラすることすらありません。
日本人の多くの人が求めると言われている「安定した状態・安心した状態」というのは不自然な状態なんですね。
というよりもそんなもの存在しない。
本質的な意味での安定は綱渡りをしているが、バランスの取れている状態だと言えるかなと思います。
ですが、その時の心の状態は「不安・心配・心配・焦り…」などがセットと言えます。
その様な感情を自分でコントロールできるというのが『安定している状態』と定義できるのかなと思います。
反対に「不安・心配・心配・焦り…」を嫌うということは、成長したくなーい!というオファーを自分自身に出していることと同義だと言えます。
「不安・心配・心配・焦り…」をいけないもの、ダメなものと捉えるのか?
「よーっし!成長のチャーッンス」と捉えるのかでその人の人生は大きく変わっていきます。
僕達のクラブは後者を育てる環境です。
なので、一般的な視点で見ると「意味わかんない」となることもあります。
一般的や一般論の先には、一般人しかいません。
他人が決めた『これが答え、これが成功』というものを実現したいのなら、僕達は必要ありません。
『自分自身の応えに辿り着き、自分の人生の成功者』を目指す人達の一役になりたい。
そう思って選手達と日々接しています。
理想や夢を叶えるには常に矛盾が存在し、その矛盾を成立させることが不可欠と言えるのかなと思います。
おわり。